グラディウスII といえば、このサイトでは以前にも改作版(『グラディウスII -SAEGUSA-』)が公開されていることを熟知している人も多いだろう。
あるいは、お茶を濁すようなアップデートをするものと思い込み、この段階で不満をあらわにする人もいるかもしれない。
しかし、である。ここでまず声を大にして訴えておきたいのは、「第一報だけを見て侮る無かれ。」ということだ。
なぜなら、ここで新たに公開される『グラディウスII -SAEGUSA- Extra Edition』は、これまでに公開されてきたバージョンとは あらゆる意味で全くの別モノだからだ。
ここには、言うなれば「これまで公開されていたバージョンは 全て単なる前振り だった」と言ってしまっても過言ではない程のレベルの違いが存在している。
以下に発表された情報を見れば、「Extra Edition」という名目で新規に、“完全新作”として公開されることとなったこの作品の全貌がみえてくることだろう。
新たな世界を体感するキーワード、それは、“可能性”だ ———!
今作、Extra Editionの 目に付く違いはといえば まず、そこに表示されるグラフィックだろう。
それもそのはず、Extra Editionでは作中のドット絵のおよそ9割近いであろう部分に手が入れられているのだ。
それは、このExtra Editionの性質が、初期公開バージョンの“できるだけもともとのドットを活かす”というコンセプトとは全く異質のスタートラインから展開されたものであるということを意味している。
作中のドット絵のおよそ9割近くというのは、もちろんザコ敵から始まり背景までも含めたあらゆる部分で、ということだ。
このことをさらに言及するならば、自機まわりなど 初期バージョンの時点でもすでに描き直されていた部分にさえも改めて修正の手が及んでいる、ともいえる。
その上で、このExtraEditionでは そうしたドット修正に加えて、色彩設計とでもいうべき修正 ———パレット色の変更のみならず 配色設定の詳細な部分の変更まで——— をも行っているのだ。
結果、画面表示の ありとあらゆる部分で、以前にも増して 煌びやかな印象が残るようになっている。
この点、人工太陽・ドラゴンやモアイなど、グラディウスIIの顔ともなるようなキャラ・場面においては特に顕著だ。
そして、その過程はついに、これらの技術の集大成とでも銘打つべき、過去作からの決定的な変更をも Extra Editionに内包させるに至ったのである ———。
Extra Editionで加えられた、これまでのバージョンとの違いを決定付ける要素 ———
それは、アニメパターンが一から見直され、極端な場合ではパターン枚数が増えるほどの変更が大量に加えられていることだ。
その効果がどれほどの意味を持つのかは、実際にそれらの一つ一つを目にしたときに明らかになることだろう。
ここでは、主だった部分をピックアップして紹介しておこう。
一連の修正の中で、おそらく多くの人が最初に気付くであろうのがフェニックスだ。
このキャラはオリジナル版では翼部分くらいしかアニメして見えなかったのだが、Extra Editionでは一発でアニメパターンが追加されていることが判る。
頭~胴体部分にかけてうねるような炎の動きが加えられているため、何も知らずに遭遇したら全身が燃えさかるように見えることだろう。
このキャラはFCオリジナル版でのもともとの動きがAC版より派手だった事とも相まって、演出面でのインパクトはAC版を上回るほどだ。
フェニックスを上回るほどに決定的なのは、クラブだ。
紙面では全く伝わらないだろうが、ツメの一本一本が方向を変えながらウネウネと動くようにまでなっているのだ。
“踊る”動きの時には、胴体部分でもともと使われている擬似多重スクロールの技法も相まって、本体が左右に派手に揺らめくように見えるはずだ。
オリジナル版と同じ画像数で実現したExtra Editionの狂気の象徴とも言えるこのギミック、その目でしかと確かめてみて欲しい。
さらに、初期バージョンでは試み程度にゴーレムの目玉部分で取り入れられていた、「オリジナル版には無かったアニメ効果」を取り入れる手法はExtra Editionにおいても健在だ。
ビッグアイの瞳部分のアニメーションなどは、AC版にもFC版にも どちらにも“もともとない”効果として追加されている。このような、気付かない人は永遠に気付かないような動きもあるのだ。
健在どころか、大量追加されているといっていいほど贅沢な仕様になっているとさえ言えるだろう。
Extra Editionでは、グラフィック修正に関連して、もう一つ、重大な変更をおこなっている。
それは、ある意味で、このExtra Editionの性質が、初期公開バージョンのあり方から脱却した点としての象徴かもしれない。
その答えは、次のスクリーンショットの中に隠されている。ちょっとしたクイズのつもりでじっくり観察しながら、「それ」とは何かを考えてみて欲しい。
どうだろう。パッと見ただけですぐにわかっただろうか?
まだという人は、ビックバイパーから発射されている弾に注目してみよう。
——— そう。リップルやミサイルなどがAC版を踏襲した形状に変更されていることがわかったはず。
グラフィック修正に関連した重大な変更とは、スプライトの形状設定を大きく見直したことだ。
そして、これにともなう形で、リップルやミサイルはオリジナル版よりも強力な当たり判定を持つことになった。
スプライトの形状設定に付随した効果であるとはいえ、これもまた重大な変更だ。
シューティングゲームでのこうした変更はゲームバランスにも関わってくるデリケートな問題として受け取られるかもしれない。
だが、FC版ではもともとリップルやミサイルの弱さを残念に感じる人も多かったり、2番装備だけが極端に強すぎた点なども踏まえれば、不安は相殺されてしまうことだろう。
そして、スプライトの形状設定を大きく見直した対象は、ビックバイパー本体そのものや、フォースフィールドの側にも及んでいる。
実際に目にするとあまりに自然すぎて気がつかないかもしれないが、ビックバイパーがより設定に近い外観に、そして フォースフィールドが自機を大きく包み込む形状になっている点などは、見た目にもこれまで以上に感じ入るものがあるはずだ。
さらに、スプライトの形状設定を変更したことで、ちょっとした楽しみも加わっているぞ。次も、クイズのつもりで以下のスクリーンショットをじっくり観察してほしい。
——— そう。装備の色が変わっている上に、よーく見ると、オプションがマルチプルになっていることがわかるはず。
種を明かしておくと、これは もとのオリジナル版から2P側ではマルチプルでプレイできる設定があるためのもの。簡単にいうなら、2Pキャラの設定を1Pキャラと共通化したことで このような見た目でプレイすることが出来るようになったのだ。
つまり、実際にマルチプルでのプレイができるのは2コントローラーだけ、ということでもあるのだが、オマケ効果として新鮮な気分でこのモードを楽しんでみて欲しい。
これまでの紹介で、Extra Editionが有している旧バージョンとの決定的な差異について、ある程度の事は伝わっただろうか。
Extra Editionで修正された部分は、もちろんゲームプレイ中の画面に限らず、多岐に渡る。
これは電源投入時の一枚絵とパワーメーターセレクト時の画面だが、ここだけを見ても、これまでのバージョンと比べて 細部に至る表現が 格段に向上しているのがわかることだろう。
とはいえ、限られたスペースでExtra Editionのその全てを紹介することはできないのも、また確かなのだ。
それほどまでに、変更された部分が数多くあるという事でもある。
だが、それらのどれもが、ページ冒頭で述べておいた“可能性”というワードに繋がっていることには、おぼろげながら理解がしてもらえるかもしれない。
初期バージョンの時点でもすでに描き直されていた部分にさえも改めて修正の手が及んでいることの理由もまた、その一環としてなのだ。
しかし、ここまでの説明やスクリーンショットで紹介されているような表示を実現するために、内部拡張などの手が加わっているのではないかという事を懸念する人のために説明しておくと、もちろん独自拡張のような技術は一切用いていない。
それは、言い換えるならば「FCオリジナル版が“もともとこの表示をできるように設計されている”」という最大級の事実がそこに存在しているという事に他ならない。
そう。“もともとのドットを活かす”というコンセプトが変更されたとは言っても(表示される内容が大幅に違っていても)、“オリジナルをよりオリジナルらしく”という根本的なコンセプトについては一切変質していないのだ。
さらに加えるならば、ここではFCオリジナル版は もとよりAC版より後発であることもあって、それを上回るほどに高いゲーム性を持っている という前提で扱っている。であれば、上記のコンセプトはいわゆる「AC化」というくくりですらない。むしろ“オリジナルをオリジナルとして”再認識することにこそ主眼が置かれている。
だが、そうした事実を知るより、何よりも最も重要な事は「FCオリジナル版の設計思想の見事さを改めて実感する」ことにこそある。そのことを忘れなければ、君も新たな“TABIDACHI”を感じ取り、そして味わうことができるはずだ。
さあ、この新たな“可能性”を体感するのは、君だ!
さて、肝心のアーカイブについてだが、今回も 当然のようにお楽しみのバージョン違いのファイルが同梱されている。
それでは、ここで気分を変えて紹介するとしよう。
はたして、その内容とは———?
タイトルだけでピンと来た人もいるかもしれないが、今回のオマケはなんと自機そのものが変更されている。
その名誉ある機体とは、もちろんあのロードブリティッシュ。いわずと知れた、惑星ラティスの伝説的な超時空戦闘機だ。
それも、数あるデザインの中でも 三枝・吉橋版ビックバイパーと並んでファンの人気が高い、「外伝~ソーラーアサルト期のデザイン」での参戦だ。
史実ではこの戦役で惑星ラティスが、そしてロードブリティッシュがどのような立場に置かれていたかということは語られていない。しかし、これもまた“可能性”として体感してみるのもまた一興だ。
君も、歴史のifを体験しよう!
電源投入時の演出からいきなり違うのがロードブリティッシュバージョンの証!
タイトル画面はもとより、パワーメーターセレクト画面でさえ全然違った印象になっているため、嫌がおうにも気分が盛り上がることは請け合いだ。
装備の面でもビックバイパーとは若干の違いがある。リップルやミサイルも見た目が違うだけでなく、色も機体イメージと同じ赤になっていることがわかるはずだ。
また、それにあわせて2P側の装備の色も変更されているぞ。こちらも2コントローラーでしか操作できないが、ちょっとしたうれしいオマケ効果になっているのだ。
そして、ロードブリティッシュといえばで当然ながら、こちらではレーザーがサイクロンレーザーになっているぞ。
もちろん、Extra Editionも公開はフリーウェアとしてだ。今回も「~注意事項と使用規約~」に目を通した上で取り扱ってほしい。