2008年、この年が何の節目にあたるか知っているだろうか?
そう、FC版『グラディウスII』の登場から20周年にあたる年なのである。
もちろん、それを知りながらただで済ますわけにはいかないことだろう。FC版『グラディウスII』生誕20周年を記念して一般公開される今作が、それをより色濃く鮮やかな体感とする事が出来れば幸いである。
FC版『グラディウスII』は、今日でもFC屈指、指折りの名作としてその名が知られている作品だ。しかし、FCではやはり制約上の限界があり、FC円熟期ならではの高いレベルの作画・表示技法が導入されてはいたものの、アーケード版の衝撃的なグラフィックとはその趣が異なる仕上がりとなっていた。
さて、唐突に感じられるかもしれないが、ここで次の写真を見て欲しい。
これは、FC版『グラディウスII』の公開より時を下る事 数年、X68000版(~PCエンジン版)『グラディウスII』の発表時に撮影されたと思しき「超時空戦闘機ビックバイパー(MODEL BP-827Z)」の機体写真である。
プロモデラー 三枝 徹 氏の手によってリファインされ グラディウス星防衛軍に納入されたこの戦闘機は、惑星グラディウスの最主力 超時空戦闘機としての風格に満ち満ちており、また、最も美しくビックバイパーらしいビックバイパーとして、プラットフォームの垣根を越え 今なおファンの人気の高いことで知られている名機でもある。
(あえて加えておくが、本機体はラフ図を元に吉橋真弘 氏(KONAMI)が製図を起こしたものとされている。工業製品における製図の重要さに重心を置くなら、氏の役割も極めて大きいだろう。)
そうしたことを踏まえた上で、以下に公表された写真を見てみよう。
パッと見では判りづらいかもしれないが、本来のFC版『グラディウスII』ではビックバイパーとして識別することが困難な(機体トップ側にコックピットが設置されている)機体が主役機となっていたものが、瞬間的にビックバイパーとして認識できる三枝・吉橋機にオーバーホールされているのである。
また、その弾倉類もアーケード版の戦役で使用された弾薬に近い見た目のものを搭載できるようレストアされていることまで判明している。(当然ながらオプションジェネレータも同様の装備に換装されている)
文字の形、色にいたるまで選びぬかれた質感が、搭乗者のハートも加速する。
気品あふれるフォルムに合わせて作りこまれたステアリング性能と、上質な走りを生み出すサスペンションの構造が、乗るものを、そして見るものをも魅了する。その一体感あふれる走りは、あたかも宇宙空間では本来聞こえないはずのエグゾーストノイズまでも醸し出すのである。(声:気だるそうな声音で思うさま棒読みの古谷徹)
パッケージングに関しては、メーカーはVIP待遇のお偉いさんばかりが乗るような一体どういうタイミングで使うか判らないものばかりを考えているようじゃあいけないのでありまして、あくまで一般の市井に暮らす庶民がどのように乗るのかという事まで考えてやらなければ、これはもう出す意味がないわけです。そういう所から考えると、ここの表示やなんかは実に上手いですね。今ちょっとお見せしますが、この、今 下で動いてるパワーメーターなんてのはその点 例えば主婦がちょっとした買い物に出かけるときなんかにも大変便利に作られてます。これは よくまとまってるんじゃないでしょうか。(声:三本和彦)
さて、もったいぶるようだが、実は、これまでの説明は単なるつかみの部分に過ぎない。ここまで紹介してきたのは、当サイトの基本概念を理解してもらうための、いわば前座のようなものである。
このページ冒頭で、“FC版『グラディウスII』の登場から20周年”だという話をしていることを覚えてくれているだろうか?
ここでわざわざ“FC版”と銘打っているのには、意味がないわけではない。当サイトの共通理念である、“オリジナルをよりオリジナルらしく”の信念がここに直結するためなのだ。
では、それら全ての意味を総括すべく、『グラディウスII -SAEGUSA-』の本当の姿を紹介しよう。
※画面はどちらも改作版のものです
『グラディウスII』といえば、即答でアーケード版のことを指す人も多いことだろう。
しかし、当サイトでは、あえてだが、そのゲーム内容についてはFC版『グラディウスII』の方がAC版よりもはるかに面白いと公言しておく。
というのは、詰まる話、AC版の衝撃的なグラフィックに見劣りするという理由から、FC版の『グラディウスII』が持っている、AC版を上回るほどのテンションで繰り広げられる高いゲーム性について、これまでほとんど語られるのを目にしたことがないのではないかとさえいえるのだ。
であるとするならば、これまで(特にその完成されきったゲーム性について)取り沙汰される事の少なかったFC版『グラディウスII』の、その本質を覆っていたであろうベールを払い上げるべく吹き込まれた新たな活力を元に、これを改めて見直してみるといい。そこには、『グラディウスII』のキャッチである“ファンタジー、創世。”ともいうべき、新たな発見があることだろう。
そして、それが、FC版『グラディウスII』がグラフィック的に見劣りするという理由だけで、そのゲーム性に対する評価そのものが見失われていなかったかを考えてみる機会になり、また、FC版『グラディウスII』のハードウェアの限界を超えた驚異的な完成度について改めて周知されることになれば幸いである。
さて、肝心のアーカイブには、バージョン違いのファイルも同梱されている。
パッケージイラストとしての元絵があるために、OPで表示される一枚絵をあえてそのまま(一切手をつけずに)残してあるバージョンだ。
オリジナル版はグラフィック的には物議をかもしたかもしれない作品だが、この一枚だけでもその作画レベルが本質的には非常に高いものである事が窺われることだろう。
また、このバージョンにはほんの少しだけ趣向を凝らし、OPの表示以外にも若干の違いを持たせている。
パワーメーターセレクト画面を注意深く見るとわかるかもしれないが、こちらではレーザーがサイクロンレーザーになっているのだ。
そして、容量の都合から やむなく変更した所もあったアナウンステキスト群については、FC版のオリジナルとほぼ同様に戻したうえでさらに若干の調整を加えたものとなっている。
この三点の表示に関して以外の変更はないが、ちょっとだけ違った気分が味わえる嬉しいオマケバージョンとなっているのだ。