『FE外伝 ノーヴァ写本版』は、数々の点でオリジナル版とは違った方向性を打ち出している。
それぞれについて、スクリーンショットも交えながら紹介してみよう。
シナリオについては、恋愛システムがないのを逆手に青春群像劇への舵きりともいえる大幅な改変がなされている。
これについては、説明されるよりも実際にイベントなどを体感したときに色濃く感じることだろう。
また、当然ながら「その場面において不適当」に感じられた台詞の数々も改められており、場面によっては、進行そのものの印象ががらりと変わる程になっている。
バトルマップは、全体的に常時 平地でのバトルを強いられたオリジナル版とは一味違った作りになっている。
容量の都合などから残念ながら重複マップの解消が行えていないといった未解消部分は多々あるが、工夫を凝らす余地は生まれていることだろう。
こちらは、見た目の改修に重きが置かれたパターン。
全く作りが変わるほどの大々的な変更は行われていないものの、より後年の洗練された見た目に近づける試みがなされている。
ゲームバランスは、オリジナル版の難度から見れば難易度そのものは大幅に下がっていると感じられるだろう。
とはいえ、外伝特有のアイテムのシステムなどを踏まえた変更が数多く加えられている。
やはりきちんと考えて行動しなければ即ミスにつながる傾向は残されているといえる。
また、戦闘グラフィックの改変にあたり、各クラス毎にスケール感がまちまちだった外見をなるべく統一されたキャラサイズになるように調整している。ウインドウの見た目の改修と相まって、オリジナル版とはまた違った印象でプレイできることだろう。
全体マップ画面にも当然ながら改修は行き届いている。改変されたシナリオの雰囲気に合わせ、より繊細な印象をもたらされるような見た目にされているのがわかるはずだ。当然ながら、イベントマップの側についても同様の改変がなされている。
そして、ファンにとってはある意味 他の何よりも重要であろうのは、外伝キャラのオフィシャル風リテイクだろう。
これは、次作である『紋章の謎』のキャラクターデザインで評価が特に高い小屋勝義 氏イラスト風のグラフィック再現がなされている。
つまり、「紋章の謎に出てくるキャラはそのままの外見になっている」ということでもある。見た目だけでも、“紋章ファンのための『外伝』”と言い切ってしまっていい改変だ。
『紋章の謎』の第一章と第二章の間に本作があることをより強く意識させられることだろう。
以上に紹介してきた内容に加え、改作版は魔法体系やアイテム効果(ときには装備品そのもの)にまで修正の手が加えられている。
舞台背景や各種設定ばかりでなく、となると気がかりに思われる点ではあるだろうが、オリジナル版の独特になってしまいすぎた個所をシリーズ作との比較検討で改めたものと思ってもらえれば改作にあたっての方向性の解釈については通りがいいだろう。