『重力装甲メタルストーム』には、データ上は用意されていながらも最終的には使用されなかったと思われる画像が数多く存在している。
▲見慣れないアイテム類が複数あるが・・・
※画面は通常のファミコン版のデータを加工して見やすくしたものです
例えば、左に示したようなものだ。
ここには通常プレイ時に登場するパワーアップアイテムのバスターシールド(S)の他にも、もうひとつSの文字が書かれたアイテムが見える。が、これが一体何であるのかは不明である。その左隣にある二重丸状のアイテムも実際には登場しないものだ。
さらに不明なのはその下の回転体らしきキャラクターだ。見た目と用意された位置から判断するに、これは本来はアイテムキャリア(イメージファイトのPowボックスのような)として登場する予定だったキャラクターなのではないだろうか。
日の目を見なかった不遇の存在ではあるが、もし実際に使用されていたら『重力装甲メタルストーム』のゲームプレイにおける、タイムアタック的な疾走感は大いに失われていたものと想像されるので、アイテムキャリアとしての登場をしなかったのは正解だったかもしれない。
▲攻撃方法さえわからない敵も何体か存在する。色は便宜的に付けただけなので実際には色すらも不明だ
※画面は通常のファミコン版のデータを加工して見やすくしたものです
また、メタルストームは二周エンドの形式をとる作品であるが、二周目でも存在を確認することのできないキャラクターも確認される。
見ての通りの心躍るデザインをしているため、どのようなものだったのか気がかりなところである。
▲普通に見てわかるのは最上段と火の玉形態のみだろう。最下段の翼だけ見えるパターンなど、使用されてこそいるが肉眼ではほとんどわからない
※画面は通常のファミコン版のデータを加工して見やすくしたものです
そうでなくとも、『重力装甲メタルストーム』は恐ろしく情熱的に豊富なキャラパターンが用意されている作品である。
フォースの形態をとるストームガンナーの姿も、データ上は用意されていながらも実際には見ることができなかったものだ。こうした機会でもなければ白日の下にはさらされなかったようにも思われる。
この他、敵データのみならずステージ中の仕掛けや多重スクロール部分についても、同じく未登場のものは存在している。
▼重力操作、あるいは加重方向に反応する床なのだろうか。これも実際の色は不明
※画面は通常のファミコン版のデータを加工して見やすくしたものです
これらの存在が物語るように、『重力装甲メタルストーム』が知られざる試行錯誤と賢明な判断力によって、リリース版の奇跡のような世界を作り上げていたであろうことについては疑う余地がないだろう。
いつかこれらが解き明かされた姿で再び見られる日が来ることを願うとしよう。
◀多重スクロール背景にも未使用のものがある。
左側のものは鉄骨らしき部分が別速度で上下し、右側の物はシリンダーのような形状の部分が画面奥から手前、そしてまた奥へと回転しながら移動する。
凝った造りをしてはいるが、実際に使用されている背景に比べるとやはり完成度は劣り、並べて表示した時の見栄えなどはあまり良いものではない。他の物と同様、これも実際の色は不明だ
※画面は通常のファミコン版のデータを加工して見やすくしたものです
▲二周目ステージ1の完成度は絶品だ
※画面は通常のファミコン版です
『重力装甲メタルストーム』が二周エンド形式をとっていることは、この作品を知る人にとっては常識的に知られている。
メタルストームの二周目は、敵の配置やその行動タイミングなどが一周目とは全く異なっており、こうしたところもアーケードゲームの匂いをふんだんに感じさせるものとなっている。
ただ、惜しむらくは、一部であまりにもタイトかつシビアな行動を求められる個所が存在するため、パワーユーザーでも楽しいとは言えない調整になってしまっている場面があることである。特に二周目ステージ2ボス(エネガイザー戦)などはグラビティアタックの着地キャンセル連続移動でもコンスタントに入力できない限りは全く勧められない強烈な難度になってしまっている。
▼着地点がずれたり、ごく僅かにキャラ送りに失敗するだけで詰んでしまう個所もある。ファンであってもさすがに閉口してしまう場面もしばしば
※画面は通常のファミコン版です
こうしたこともあって、知ってはいても一周目クリア時点までのプレイで満足したことにして終えてしまう人も多い。二周目の高すぎる難易度を前にしては、それも無理からぬことである。
しかし、それを押し切っても、二周目には 初見では太刀打ちできないところから道を発見していくのにも似た構成の妙を感じさせられる場面はある。二周目のステージ6ボス(ムーバ戦)などは、一周目では味わえない完成しきった出来だ。
全体を通してみると、せめて二周目ではパワーアップの複数同時取得ができるようになっていれば、と感じさせられる部分も多々ある。(バスターシールドの存在価値まで含めるとなお一層だろう。)とはいえ、もし、完璧な仕上がりを誇る一周目を終えていても二周目にまでは進んだことがなかった、などという人がいるのならば、最低でも二周目ステージ1までは体感してほしいところだ。